あけましておめでとうございまっする!!
なかなか忙しくしてました。更新せず、反省もしません。
今学習している圏論は、(一般には代数構造を持った)集合間の操作の可換性であるとか、構造そのものの性質を、射の性質と有向グラフで記述する表現論(すいません、この時あまり表現論に正しい認識がなかったもので、敢えて言えば代数)に分類される分野で、かなり面白いのです。
例えばモノイドが二つの射
と
に付随して定まる以下の図式を可換にするものとして定義されるのは興味深いものがあって
が結合律と代数的閉性()を記述し、
が左(右)恒等元の存在を記述しています。
個人的には、かなり真新しい観点です。まさに突風。嵐のように吹き荒れてます。いよいよホモロジーぃぃって感じがしてきました。
今回の内容に特に面白い発見というのはないのですが、命題によっては少し変わった証明を試みてます。特異複体・胞体分割の計算がようやく、本当にようやくですが馴染んできました.
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命題: 連続写像が全射で無いなら,
は定値写像にホモトープである
証明: 仮定からとなる
があるので, いまこれをコンパクトと仮定しましょう. すると
は有界閉集合であって
は可縮ですから, 定値写像
とホモトープな恒等射
があります.
なのでこれらを
で引き戻した
と
について,
は目的のホモトピーを与えます.
がコンパクトでなくとも,
に含まれるコンパクト集合
で
となるものが存在するので, 上と同様の議論が通用します■
命題: は
上一様連続である.
証明: 少なくともいずれかが0であれば
とおいて
が示される. 今
と
を仮定する.
このときに注意すると,
※は実数に拡張した二項係数
を表す.
※2行目の符号はの符号に応じる.
とおけば,
は正の広義単調減少列で, しかも
であるから
は収束するので, アーベルの判定条件を満たす.
なる実数
をとって
となるので, 与えられたに対して
とおけば, 仮定の元一様連続条件
を満たす.
の場合,
の収束性は保証されないので, 有界性を示す. この条件において,
なる自然数が取れるので, 固定しておく.
であるから有界. そこで
と取れば
は0に収束するからディリクレの判定条件を満たし, (i)を満たす. 今
を仮定したが, これで実数上一様連続であることが示された■
compact housdorffな位相空間のn次元有限H-胞分割
に対し,
とする. 3対の homology exact sequence
における境界準同型は, 別の3対
との結合によって, H-胞分割
の定める鎖複体
が定義される.
一般に, がH胞分割を持つような位相空間であれば, そのk次ホモロジー群は
を計算して求まる.
確認のため, クラインの壷を等化複体における単体的同一視を使ったホモロジー群の求め方と, 胞体分割によるやりかたを比較してみた.
クラインの壷は, 等化図を持つ. 単体分割
で切り開きやすくするために基本変形を施して
と取っておく. つまり次のような感じ.
各単体について関係を与えると,
がそれぞれ得られる. そこでに対する係数を
とすると,
であって,
.
から, が分かるので,
と置けば
と書け,
(ここで
は一次元鎖複体の基を表すが, 具体的にどの辺に対応しているか, この段階では問題ではない).
は明らか.
以上からクラインの壷のホモロジー群はである.
上の等化図を元に胞体分割を考えよう.
等化射の, 同値類に属す各単体への制限を特性写像として構成する. 即ち
[0胞体]
[1胞体]
[2胞体]
ととる. 各単体に対する同値関係が, その単体から導き出される各胞体に移るので, 特性写像で見ると1胞体で書いたは二つの異なる点であるのに, 一点
で等化している二つの1胞体になる. 実際には
ということに注意.
そのとき胞体分割によって定まる鎖複体
は
となる. 元となった等化図の四角形()は, 等化図として
と書き表されたが, これは反時計回りを正とした
の定める自然な向き
を決めた上での表現だから, この結合を加法的に書き表したもの, 即ち
が, 単体的同一視も含めたMの境界の基を記述している.
今と書いて,
だから,
.
1次元境界は一点で等化されるので,
即ち
この結果から
は明らか. 以上で上記と同様の結果になりました■
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記憶の整理のため, 外微分の導出をし, クラインの壷のde Rham cohomology groupを求めておきます.
命題: 交代k, l, m次形式からをとっておく.
(反変換法則)
(結合法則)
が成立する.
証明: 外積の定義から, に対し,
が成り立つ.
置換を固定すると,
は
の全ての元を漏れなく動くので, 上式における
の代わりにとってやると, 最後の式は
と書ける(による).
あとは符号を示せば良い
この置換が全単射であることに注意すれば, 正則線型変換, すなわち(k+l)型正則行列として次のように書ける(右下の添え字は, 第何行であるかを示す)
先ほどの符号は, 行列式としてのの, 左下のk個の要素を各行が上に
行飛び越える置換の積であるから,
を得る■
・・・de Rhamコホモロジーは次回。時間が足りません;
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2次複素射影空間を商射
で定義し, 5次球面
への制限
を考える. 任意の点
を
で引き戻した空間は,
上
で生成される空間
と考えられるので, ある
で
を満たすようなものがとれる. このとき
と思えるので,
は上への写像である.
・・・これももう少し詰めた内容があって, 私なりの計算の簡略などを思いついたのですが, 書く時間あらず. 次回のお楽しみ!
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単なる備忘:
等化複体における単体的同一視の要請
同一点は元々同一視
どちらか一方向により同一視されれば代数操作(逆像をとる)で両方から同一視
が同一視されれば
の全ての辺単体とそのアフィン同型像も各々同一視
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解析演習の問題. 易しいが面白い.
Proposition: は
上正則で,
Proof: とおくと, 有限和
は
上極を持たない有理関数であって正則.
のとき実正数値関数
は単調減少関数で
なる
に対し
を区間
上
について積分し,
この有限和から
であって, 中辺の極限においてに収束するから, 右辺の無限和も上に有界. 従って正項級数としての和の極限は収束する(euler-maclaurin). 今
が成立しており, 上の収束判定の議論を上に
の条件で適用できる. このとき
に含まれるコンパクト集合
上
が一様収束するので(
),
は
上正則である(Weierstras). 正則関数の正則域
に含まれる小円板での整級数展開が一様収束することから, 項別可積分で和と微分が交換できる. すなわち題意が成り立つ■
Proposition: は,
でそれぞれ正則で,
となる.
Proof: まずは一様収束し, 従って正則であることは証明なしに使う. 式変形から,
が上正則. あと証明すべきことは
に一様収束することである.
次のように考えればスッキリする.
を正整数(0以上の整数)の直積空間から自然数への関数
と考えるとき, これが全単射であることを示し, 結果
となるので, 可算列での一致の定理から同じ関数であることが示せる.
まずの定義域を
に制限したものは明らかに
の上へ写すので, 単射であることを示すのに自然数の部分集合族
を定義する.
このとき, .
実際なる
は,
だから存在しない. そして同様の計算で,
が成立する
().
これでが単射であることも示され,
が成立する.
一方別の式変形で,
が上一様収束し正則だが,
の全単射性より直ちに
を得る■
これ, 書いてるだけで時間が経つものですね.