Category Theory I

代数幾何にはスキーム論や層の手練がたくさんいるようなことをどこかで見かけて, 焦りを覚えずにはいられません. こちらはそういうものがあるという認識でしかなくて, 基礎となるcategoryも必要と思ってたのですが Commutative Ring TheoryやGalois Theoryに追われて全然時間を取れていませんでした. そこで少しでもやろうと思っています.

代数多様体の諸々の扱いも早く慣れたいので, 先2ヶ月でR. HartshorneのChapter 1を読むのが目標です(他にやることが山のようにあるので多分一章しか手を付けられない).

以下はcategory論の基礎として定義程度のものの紹介.

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Category CのQuiverをQ=Quiver(C)=(O,M,s,t)とし(oriented graph), Qの2-pathの集合

M_2(Q)={(f,g)∈M^2|s(f)=t(g)}の元は合成が可能で(fog)=h∈Mとなることから,

Cに付随するcomposition oは,

o:M_2(Q)→M

で与えられるが, 実際的にはMにおけるA→Bなる射の集合を

s^(-1)(A)∩t^(-1)(B)=Hom_c(A,B)=C(A,B)⊂Mor(C)

と定義し, より具体的に始域と終域を指定したcomposition

o_(A,B,C): C(B,A)×C(C,B)→C(C,A)

を決めておく.

こうして適当に選んだ射の三つ組み(f,g,h)∈M_3(Q)で合成可能な組だけをcompositionとの対で定義とし,

Mor(C)=∪[A,B∈O]C(A,B)と定義すれば(ここでのA,B∈Oは適当なOの元という意味), category Cを改めて

C=(O,C(A,B),o_(A,B,C))

と書け, 諸々の条件(C(A,B)のdisjoint性等)を与えれば最初の定義のcategoryと一致する.

[1] Ob(C)=Øのとき, Cの射f∈Mor(C)は写像であるので, 写像の定義により, s(f)=A∈Ob(C), t(f)=B∈Ob(C)なる域を取ってfがAの任意の元を唯一つのBの元に対応させるようにできる.
しかしそのような域が存在しないので(Ob(C)=Ø), Mor(C)=Ø.
C=(Ø,Ø,*)=(empty category)

[2] Ob(C)={A} (唯一つの対象)のとき, End_c(A)=Mor(C) (単対象圏).
実際定義からf∈Mor(C)=End_c(A)であるし, categoryの定義から恒等射I_A∈Mor(C)の存在とcompositionの公理によって,
単位的・結合的マグマであって双方モノイドである.

[3] n個の元から成る順序集合(擬順序でも可)はcategory

[4] Universeのみからなる集合{U}はUniverseに含まれない(証明は後ほど).

※この宇宙(Universe)という概念は自分にとってまだまだ不可解な点が多く, その有限性に関して圏論的に意味を持つことのみ分かっているだけです.

Ob, Mor, Compositionが与えられたとき圏になるための条件をまとめておく.
(Ci)合成可能(C(b,a)×C(c,b)→C(c,a)の意味で)なMor(C)の3つの元に対する結合律
(Cii)Obの任意の元a∈Obに対する恒等射I_aが存在する
(Ciii)Mor(C)のdisjoint性 ((a,b)≠(a’,b’) なら Hom_c(a,b)∩Hom_c(a’,b’)=Ø)

[5]Abelian categoryがU-categoryであることを示す.
Ab.=(O,M,s,t,o)は, Ob=∪[U∋Gは群]G, M=準同型と定義される. よって任意のA,B∈Ob(Ab.)に対し, Universeの定義からA,B∈UならMap(A,B)∈Uであるから,
Hom(A,B)⊂Map(A,B)∈U. Ab.がCategoryであることを示すのに, (Ci), (Cii)は定義から明らかなので(Ciii)のみ示すのだが,
Hom(a,b)の元の準同型性と群を軌道分解したときの位数に関する条件を使わねばならず, 面倒そうなので後に回します. 具体的なものだけ作ってみたので掲載.

対称群の組成列{e}⊂A_3⊂S_3を取るとき,

C({e},A_3)={embed:e→e}, またA_3が正規であるから, 射影π:S_3→S_3/A_3のA_3への制限は恒等射である.
よってC(A_3,S_3)={embed’:A_3→A_3}≠C({e},A_3).

[6] subcategory C’ は次のように定義される.
O’⊂Ob(C), M’⊂Mor(C)に対し,
(Si) M’⊂s^(-1)(O’)∩t^(-1)(O’)
(Sii) 1(O’)=O’なる恒等射1∈M’が存在する
(Siii) o((M’×M’)∩M_2)⊂M’

iでM’の始域と終域がO’から選べることを保障し, iiiでM’に含まれる合成可能な射の合成がM’に関し閉じてることを保障している.

[7] full subcategory(充満部分圏) C’は上の条件に加え
(Siv) M’=s^{-1}(O’)∩t^{-1}(O’)
を満たす(Hom_c(a,b)=Hom_c'(a,b) (∀a,b∈O’)と同値).
C’はO’とCによって決まるので, O’を対象集合とするCのfull subcategoryという.
任意の Ob(C) の部分集合 O’ は C のfull subcategoryを定める.

C^r(Mfd)⊂C^s(Mfd) (r>s)は充満(full)でないsubcategoryの例.

[8] opposite category (双対圏) C^{op}のcomposition o’は, o'(g,f)=o(f,g)を満たす.
任意のa, b∈Ob(C)と, C^{op}(a,b)∋fについてf∈C(b,a), またその逆も成り立つのでC^{op}(a,b)=C(b,a)である. 実際fを1_b:b→bなる恒等射とのoppositeな合成でf=o'(1_b,f)と表すと, f=o(f,1_b)からs(f)=bであることが要求される. 同様に f=o'(f,1_a)なら, f=o(1_a,f)から t(f)=aが要求される.

【命題】B が C の部分圏のとき, B^{op} は C^{op} の部分圏である.
B が充満部分圏であれば, B^{op} は C^{op} の充満部分圏である.

【証明】双対圏におけるMor(C^{op})は, 始域と終域を指定しなければ, つまり集合としてMor(C)と同じものである. O^{op}にも同様のことが言えることから, 前半が条件(Si), (Sii)を満たすことは明らか. (Siii)は合成可能な射の対Mor(B^{op})∩M_2(B^{op})∋(f,g)を取って, o’_B(f.g)=o_B(g,f)∈Mor(B)=Mor(B^{op})から従う.

後半はOb(B^{op})=Ob(B)から任意に対象a, bを選んでB^{op}(a,b)⊂Mor(B^{op})=Mor(B)を示せばs^{-1}(Ob(B))∩t^{-1}(Ob(B))⊂Mor(B^{op})が示されたことになるが, B^{op}(a,b)=B(b,a)⊂Mor(B)=Mor(B^{op})から直ちに従う.

[8] F=(C,D,F_0,F_1)が関手であるとは:

(Fi) C, Dはcategory
(Fii) F_0: Ob(C)→Ob(D)が写像.
(Fiii) F_1: Mor(C)→Mor(D)が写像.
(Fiv) a, b∈Ob(C)に対し, F_1は C(a, b)をD(F_0(a), F_0(b)) に写す.
(Fv) a∈Ob(C)に対し, F_1(1_a) = 1_[F_0(a)]である.
(Fvi) (f,g)∈M_2に対し, F_1(fg) = F_1(f)F_1(g).

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