ホモロジー群不変性の考察(i)

他の解析的な問題に追われて後回しにしていました。ようやく時間が取れそうなので、ホモロジー群の考究をしていきます。
自分が辿った思考経路をそのまま残すことを優先させました。今回は基本的な事項について触れていきます。
間違いが結構あるかも知れません、勝手にそうだと解釈してる部分も多い気がします。
もし気づいたらご指摘いただけると幸いです。

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K=K(\sigma^2)を2次元複体とする.
境界準同型\partialに対し, 輪体群Z_2(K)=0, 境界輪体群B_2(K)=0.である.
実際Z_2(K)=Ker\partial_2=\{c\in C_2(K)|\partial_2(c)=0\}から2鎖Z_2(K)\ni c_0を取ると, 0=\partial_2(c_0)=\displaystyle{\sum^2_{i=0}{(-1)^i<a_0,\ldots,a_i^{\wedge},\ldots,a_2>}}. これが成り立つためには, 一時独立な向き付けられた単体<\sigma^1>_i(i=0,1,2)は全て0に等しくなければいけない.
よってc_0=0(\forall c_0 \in Z_2(K)). またB_2(K)\ni \partial_3(c^2)=0(2=dimK < q=3).

次に\partial_1\partial_2=0(\forall c^2\in C_2(K))から, Z_1(K)=Ker\partial_1=Im\partial_2=B_1(K).

その他ちょっとした検証からB_q(K)\subset Z_q(K)\subset C_q(K)であることが示されるが, 一応0\neq c\in Z_q(K)のうちc\notin B_qとなるものが存在することを確認しておく. それにはq=2とおいて\partial_2(c_*)=0; c_*\in C_2(K)-B_2(K)\neq \emptysetなる2鎖c_*の存在を示す.
そしてこれはやはり存在する. 境界準同型の性質から, \partial_2(C_2(K)-B_2(K))=\partial_2(C_2(K))-\partial_2(B_2(K))=\partial_2(C_2(K))=B_1(K).
\partial_2(B_1(K))=0 である. 逆にこのようなc_*が存在しないのはC_2(K)=B_2(K)のときで, このときまたC_2(K)=Z_2(K)である.

ホモロジー群を構成しよう.
H_q(K)=Z_q(K)/B_q(K)をq次元ホモロジー群.
全ての次元0\leq q \leq m=DimKに関するq次元ホモロジー群の直和を,
H_*(K)=H_0(K)\oplus H_1(K)\oplus \cdots \oplus H_m(K)を複体Kのホモロジー群と呼ぶ. q次元ホモロジー群の元[z_q]\in H_q(K)をq次元ホモロジー類と呼ぶ.
ここまでは定義どおり.

次を証明しよう.

H_1(K(\partial \sigma^2))\simeq Z

なお, K(\partial \sigma^q)とはq次元複体からq単体を除いたものである. つまりこれはq-1次元複体である. またここでZは整数環を表す(ここでは加群として考察するが).

K(\partial \sigma^2)=\{|a_0|,|a_1|,|a_2|,|a_0a_1|,|a_0a_2|,|a_2a_3|\}であることに注意して, \partial_1(\sigma^k)=0 (k<1)であるから, 0単体は無視すると, H_1(K(\partial \sigma^2))\ni [z^1]=z^1 +0(z^1\in Z_1(K(\partial \sigma^2), B_1=0(\forall \sigma^1\in K(\partial \sigma^2)))が成り立つ.

結局左辺は,
\{c=\lambda_0<a_0,a_1>+\lambda_1<a_1,a_2>+\lambda_2<a_2,a_0>|c\in C_1(K(\partial \sigma^2)), \partial_1(c)=0\}なるもの全体である. これが無限巡回自由加群となるからZと同相なのは分かるが, それならH_q(K) (0\leq k \leq dimK)のいかなるq次ホモロジー群もそうではないの? と思ったら, どうもそのようである.

次に, m次元複体の2つのq輪体(0\leq q\leq m), z,z'\in Z_q(K)がホモローグである場合の代数的表示がどうなるのか確認しておこう.
このときz\infty z'\Leftrightarrow [z]=[z'] \Leftrightarrow z-z'\in B_q(K)である. z=z'のときは明らかゆえz\neq z'とすると, \partial_q(z-z')=\partial_q(z)-\partial_q(z')=0=\partial_q\partial_{q+1}から, \partial_q(z)=\partial_q(z').

\displaystyle{\sum_{i=0}^u{\lambda_i-\lambda_i' <\sigma_i^q>}} = b_q = \displaystyle{\sum^{q+1}_{i=0}{(-1)^i<a_0,\ldots,a_i^{\wedge},\ldots,a_{q+1}>}}なる形に表せるb_q\in B_q(K)が存在する.

これでは今ひとつ見通しよく見ることができないが, 各単体は0ではないから基が同じなのは違いないようだ. 双方向きつき単体の同次一次形式で表されてる.

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次回位相不変量であるベッチ数の計算や部分複体の中で異なるベッチ数を持つものの関係などについて考察を加えたいと思います。