応用等

今日夕方、レストランに居たときの出来事。

隣のテーブルに座る、3才程の娘が大きな声で何か言ってるので気になって観て見ることにした。

娘は母親に向かってしきりに言う。

「口にものを入れたまましゃべらない!」

それはまるで、必死に懇願しているようだった。
母親はもう一人の娘と学校の話?をしている。

「口にものを入れたまましゃべらない!」

何度も大声で言われ、話の腰も折られて全く不愉快な母親は、「口にモノなんて入れてませーん!」と開き直り、一喝「うるさい!」

親の口癖を真似てるんだろうか, 注意するというよりは駄々をこねるように

「口にものを入れたまましゃべらない!」

そう繰り返す娘の姿が、普段の母親の姿と被る。

「case by case」ということを教えてくれる大人が彼女の周りに現れる様、お節介にも願っているのであった。

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さて、連日に渡って過去問に取り組んでいます。
忘れていたり、ぼんやりしていたところがあぶり出されて来ています。

2011数A [1]
V={p(x)=a+bx+cx^2|a,b,c∈R}, F(p(x))=(x+1)d[p(x)]/dx

(1)Fの表現行列を求める問題.
p(x)=a+bx+cx^2とすれば, たかだか2次の実係数多項式全体の標準基底(1,x,x^2)について,

    \[\begin{array}{lcl} p(x) &=& (1,x,x^2)\circ {}^t(a,b,c) \mapsto F(p(x)) \\      &=& (1,x,x^2)\circ {}^t(b,b+2c,2c) \\      &=& (1,x,x^2) \begin{pmatrix} 0 & 1 & 0 \\ 0 & 1 & 2 \\ 0 & 0 & 2 \end{pmatrix} {}^t(a,b,c) \end{array}\]

からFの表現行列は

    \[\hat{F}=\begin{pmatrix} 0 & 1 & 0 \\ 0 & 1 & 2 \\ 0 & 0 & 2 \end{pmatrix} \blacksquare\]

(2) {\rm M}=\big\{G\in {\rm Hom}_R(V,V) | G\hat{F}=\hat{F}G\big\}の次元を求める問題.
列ベクトル基準で{\rm G}=(a^1,a^2,a^3)と記すと, 条件から

    \[G\hat{F}=(0,a^1+a^2,2a^2+2a^3)=\hat{F}G=(\hat{F}a^1,\hat{F}a^2,\hat{F}a^3)\]

すなわち

    \[\begin{array}{lcl} {}^t(a^1_2,a^1_2+2a^1_3,2a^1_3) &=& 0 \\ {}^t(a^2_2,a^2_2+2a^2_3,2a^2_3) &=& {}^t(a^1_1+a^2_1,a^1_2+a^2_2,a^1_3+a^2_3) \\ {}^t(a^3_2,a^3_2+2a^3_3,2a^3_3) &=& {}^t 2(a^2_1+a^3_1,a^2_2+a^3_2,a^2_3+a^3_3) \end{array}\]

直ちに

    \[{\rm M}=<(e_1,-e_1,e_1)>\]

であって{\rm dim}{\rm M}=1 (但しe_1は(1,0,0)の転置)■

[1] I=[0,∞). 有界関数列\{f_n\}_{n=1}^\infty :I\rightarrow Rがfに一様収束するという条件.
(1) fがI上有界であることの証明
有界性から任意のn∈NについてM/2>0が存在し, \|f_n\|<M/2(但し\|*\|は一様ノルム).
一様収束性からこのM/2について十分大きな自然数n_0\in Nに対し, n>n_0ならば

    \[| \|f\|-\|f_n\| | \leq \|f-f_n\| < M/2\]

すなわち

    \[\|f\|<M\]

これはnの極限においてI上fが有界であることを示す■

(2) \lim_{x\rightarrow \infty} f_n(x)=a_n \in \mathbb{R}なら\{a_n \}_{n=1}^\inftyはコーシー列であることの証明.

正数ε>0に対し十分大きなn_0\in Nをとっておく. m,n>n_0であれば, 有限確定値であることにより, 数列の加減乗除と極限値における加減乗除とが交換できて, かつ一様収束性により

    \[\begin{array}{lcl} |a_n-a_m| &=& \lim_{x\rightarrow \infty} |f_n(x)-f_m(x)| \\           &<& \lim_{x\rightarrow \infty} \big\{ |f_n(x)-f(x)|+|f(x)-f_m(x)| \big\} \\           &<& 2\epsilon \quad (\forall x\in I) \end{array}\]

εは任意であるから{a_n}はコーシー列である■

(3) (2)と同じ条件で\lim_{n\rightarrow \infty}a_n=Aなら\lim_{x\rightarrow \infty}f(x)=Aであることの証明.

一様収束性が, 関数列の各パラメータの極限を取る操作を交換可能にする十分条件となることを示す.

一様収束性と収束性から, 中辺第一項はnについて, 第二項はxについて十分大きな値を選んでおけば, 任意のε>0について

    \[|f(x)-a_n|<|f(x)-f_n(x)|+|f_n(x)-a_n|<\epsilon/2\]

ここから|a_n-A|<\epsilon/2となるようnをとっておき, 直ちに

    \[|f(x)-A|<|f(x)-a_n|+|a_n-A|<\epsilon\]

εは任意であったから題意は成立した■

[3] 位相空間XからYへの写像fとそのグラフG(f)を

    \[G(f)=\big\{ (x,(f(x)))| x\in X\big\} \subset X\times Y\]

と定義する.

(1) fが連続, YがHausdorffならG(f)は積位相について閉集合であることの証明.
直積空間X×Yからグラフを除いた集合\bar{G}=X×Y-G(f)が積位相について開集合であることを示す.
任意に(x,y)\in \bar{G}をとれば, y≠f(x)であって, Yの開近傍y\in U_y, f(x)\in U_{y'}U_y \cap U_{y'}=\emptysetとなるものが取れる(Hausdorffの公理). f(x)\in U_{y'}\subset f(X)であることとfが連続であることから, V_1=f^{-1}(U_{y'})\subset XとなるXの開集合が存在する. V_1\times U_yは構成の仕方から(x,y)を含むX×Y上の開集合であるが, (x,y)\in \bar{G}であるから

    \[V_1\times U_y \subset \bar{G}\]

すなわち\bar{G}の任意の元は積位相における内点であるから開集合, \bar{G}は閉集合である■

[4] 複素関数が次のように定義されている.

    \[f(z)=\frac{1-e^{iz}}{z^2} \quad (z\in \mathbb{C}, z\neq 0)\]

(1) r>0に対し曲線C_rz=re^{it} \quad t\in [0,\pi]で定める.
このときの\displaystyle{\lim_{r\rightarrow \infty} \int_{C_r} f(z)dz, \lim_{r\rightarrow +0} \int_{C_r} f(z)dz }の値を求める.

    \[\begin{array}{lcl} |\int_{C_r}fdz| &\leq & |r^{-1}\int_0^\pi \frac{1-e^{iz}}{e^{it}}dt| \\  & \leq & |r^{-1}[e^{-it}]^\pi_0| + r^{-1}\int_0^\pi |e^{-it}|dt \\  & \leq & \frac{2+\pi}{r} \rightarrow 0 \quad (r\rightarrow \infty) \end{array}\]

    \[\begin{array}{lcl} \int_{C_r}fdz & = & \int_{C_r}z^{-2}dz-\int_{C_r}\frac{e^{iz}}{z^{-2}}dz \\ &=& \int_{C_r}z^{-2}dz-\sum_{n=0}^\infty \frac{i^n}{n!} \int_{C_r}{z^{n-2}}dz \\ &=& \int_{C_r}z^{-2}dz-\int_{C_r}z^{-2}dz-i\int_{C_r}z^{-1}dz - \int_{C_r} g(z) dz \end{array}\]

ここでg(z)は収束半径∞の正則関数で, 一様に有界であるので|g(z)|<Mとなる実数Mが存在する. このとき

    \[\begin{array}{lcl} \int_{C_r}fdz & = & -i\int_{C_r}z^{-1}dz - \int_{C_r} g(z) dz \\ &\sim& \pi +  2M\pi r  \rightarrow \pi \quad (r\rightarrow +0) \end{array}\]

よって順に0, π■

(2) \int_0^\infty \frac{1-cosx}{x^2}dxの値.

    \[\begin{array}{lcl} \int_0^\infty \frac{1-cosx}{x^2}dx &=& 2^{-1}\int_0^\infty x^{-2}(2-e^{ix}-e^{-ix})dx \\ &=& 2^{-1}\int_0^\infty \{ \frac{1-e^{ix}}{x^2} + \frac{1-e^{-ix}}{x^2}\} dx \\ &=& 2^{-1} \{ \int_0^\infty \frac{1-e^{ix}}{x^2}dx + \int_{-\infty}^0 \frac{1-e^{ix}}{x^2}dx \} \end{array}\]

原点を除いた実軸と上半平面においてホモローグ0なサイクルC=\sum_{i=1}^4 C_iを境界とする領域においてfは正則であるので, コーシーの積分定理により,

    \[0 = \sum_{i=1}^4 \int_{C_i}f(z)dz = -\pi + \int_0^\infty \frac{1-e^{ix}}{x^2}dx + \int_{-\infty}^0 \frac{1-e^{ix}}{x^2}dx\]

前式と合わせて

    \[\int_0^\infty \frac{1-cosx}{x^2}dx = \frac{\pi}{2} \quad \blacksquare\]

2011数B [1]
n次ベクトル空間の内積を通常のものとして, R^nの基底(v_j)_{j\in \{1,\ldots,n\}}を一組とり, (v_j)_{j\in \{1,\ldots,n\}}から生成されるZ加群をL=Z[v_1,\ldots,v_n]とする. Z加群Mを

    \[M=\big\{ w\in R^n| \forall v\in L, (v,w)\in Z \big\}\]

と定義する.

(1) R^nのベクトルの組(w_j)_{j\in \{1,\ldots,n\}}

    \[(v_i,w_j)=\delta_{ij}\]

を満たすものが唯一つ存在することの証明.

jを一つ固定し, w_j={}^t(x_1,\ldots,x_n)_jと見做す.
n次行列VをV=(v_1,\ldots,v_n)とおくと, (v_j)の一次独立性からVは正則で, 一次方程式系

    \[Vw_j=e_j\]

は一意な解

    \[w_j=V^{-1}e_j\]

を持つ. 従って条件を満たすn次ベクトルの組(w_j)_{j\in \{1,\ldots,n\}}は一意的に存在する■

(2) MがZ加群としてZ^nに同型であることの証明.
(1)で一意的に定まる(w_j)_{j\in \{1,\ldots,n\}}は, 明らかにMの基底を成す.
実際 w\in Z[w_1,\ldots,w_n]=M, v\in Lw=\sum s_iw_i, v=\sum t_j v_j \quad (s_i, t_j \in Z)とすると,

    \[(v,w)=\sum_{i,j}^n s_it_j(v_i,w_j)=\sum_i^ns_it_j\in Z\]

このことから同型

    \[\phi:M\rightarrow Z^n; \phi(w_j)=e_j\]

が定まることが分かる■

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多様体M上のチェイン・ルールの特徴付けに関する考察

n次元多様体Mの一点pにおける二つの局所座標系{\bf x}=(x^1,\ldots,x^n), {\bf \bar{x}}(\bar{x}^1,\ldots,\bar{x}^n)について, 次の関係が成り立つ.

    \[(\frac{\partial}{\partial \bar{x}^i})_p=\sum_{j=1}^n \frac{\partial x^j}{\partial \bar{x}^i}(p)(\frac{\partial}{\partial x^j})_p\]

(\frac{\partial}{\partial \bar{x}^i})_pは接ベクトルであるからpの近傍上定義されるC^\infty級実数値関数全体を\mathfrak{F}_pとすれば, (\frac{\partial}{\partial \bar{x}^i})_p:\mathfrak{F}_p\rightarrow Rである. pの{\bf x}, {\bf \bar{x}}に対応する座標近傍を(U,\phi), (V,\psi)とするとき, U\cap V上定義されるC^\infty級実数値関数をVの関数と考え, その一つをgとする. {\rm Im}\phi|U\capV{\rm Im}\psi|U\capVは微分同相であるから, 微分同相\phi \circ \psi^{-1}=F:{\rm Im}\psi \rightarrow {\rm Im}\phiが存在し, 局所座標間の変換式を得る:

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この変換式によって, gを

    \[g=G_V(\bar{x}^1(p),\ldots,\bar{x}^n(p))=G_U(F^1(\bar{x}(p)),\ldots,F^n(\bar{x}(p)))\]

のように表すとき,

    \[\begin{array}{lcl} (\frac{\partial g}{\partial \bar{x}^i})_p &=& (\frac{\partial G_U(F^1(v),\ldots,F^n(v))}{\partial v^i})_{v^i=\bar{x}^i(p)} \\  &=& \sum_{j=1}^n \frac{\partial G_U}{\partial u^j} ({\bf x}(p)=F({\bf \bar{x}}(p))) \cdot (\frac{\partial F^j}{\partial v^i})_{v^i=\bar{x}^i(p)} \\  &=& \sum_{j=1}^n \frac{\partial g}{\partial x^j}(p) \frac{\partial x^j}{\partial \bar{x}^i}(p) \end{array}\]

※2段目は座標近傍(とそこの局所座標系)が与えられ, そこでの一点pと座標系との対応(これは定義から微分同相である)によって明示的に局所座標(⊂R^n)における微分が行われている. 一方3段目では, xを座標u(あるいは\bar{x}を座標v)と同一視し, 多様体M上における微分に直されている.