Manifold

検証の記録なので面白いものは何も無いかも知れません.

計量gを備えたリーマン多様体(M,g)の可微分曲線\phi:(a,b)\rightarrow M,\ \psi:(c,d)\rightarrow Mが同値であるとは,
上への微分同相\theta:(a,b)\cong (c,d)であって

    \[\psi(\theta(t)) = \phi(t),\ d\theta/dt>0\ (\forall t\in (a,b))\]

を満たすことと定義する. このとき\phi \sim \psiと書いて, 〜が同値関係を定義する.

反射律: (\phi\circ id_{(a,b)})(t)=\phi(t) \vee \frac{d}{dt}id_{(a,b)}=dt/dt=1>0
対称律: \phi\sim\psiとする. このとき\eta = \theta^{-1}:(c,d)\cong (a,b)であって, 逆関数定理より

    \[\frac{d\eta}{ds}(s) = (\frac{d\theta}{dt})^{-1}\circ \eta(s) = (\frac{d\theta}{dt}(\eta(s)))^{-1}>0\]

が成り立つ. \etaの定義から\psi(s)=(\phi\circ\eta)(s)\ (\forall s\in (c,d))も分かる.

推移律: \phi\sim\psi,\ \psi\sim\mu;\ \theta:(a,b)\cong (c,d),\ \eta:(c,d)\cong (e,f)とする.
このとき\psi(\theta(t))=\phi(t),\ \mu(\eta(s))=\psi(s)\ (\forall t\in(a,b),\ \forall s\in (c,d))であるから,

    \[(\mu\circ\eta)\circ\theta(t)=(\psi\circ\theta)(t)=\phi(t)\]

が分かる. \mu\circ\eta:(a,b)\cong (e,f)に関して\mu\circ (\mu\circ\eta) = \phi\ (\forall t\in(a,b))から, \mu\sim\phiである.

同値な可微分曲線は弧長を不変にする. 具体的には\thetaによって微分同相となる実開区間(a,b)\cong (c,d)上定義される同値な可微分曲線\phi\sim\psiに対し,
部分開区間(a',b')\subset (a,b)を取る. このとき\phi(a',b')上の弧長と\psi(\theta(a'),\theta(b'))上の弧長が一致する. すなわち

    \[L(\phi;a',b')=L(\psi;\theta(a'),\theta(b'))\]

が成り立つ.

実際(a',b')\phi,\ \psi\circ\thetaは同じ可微分曲線で, \phi(t)=p\in M\ (\forall t\in(a',b'))におけるMの局所座標系として共通の(x_1,\ldots,x_n)をとれる.
sにおける\psiの接ベクトルを\nu_sとすると, ||\nu_s||^2=g_p(\nu_s,\nu_s)はsの関数で, 一次微分形式が次を満たす.

    \[\begin{array}{lcl} ||\nu_s||ds &=& \Big(\sum_{i,j=1}^n \frac{\psi^i}{ds}(s)\frac{\psi^j}{ds}(s) g_p((\frac{\partial}{\partial x^i})_p,(\frac{\partial}{\partial x^j})_p) \Big)^{1/2} ds \\ &=& \Big(\sum_{i,j=1}^n \frac{\psi^i}{ds}(s) \frac{d\theta}{dt}(t) \cdot \frac{\psi^j}{ds}(s) \frac{d\theta}{dt}(t) \cdot g_{ij} \Big)^{1/2} dt \\ &=& \Big(\sum_{i,j=1}^n \frac{d(\psi^i\circ \theta)}{dt}(t) \cdot \frac{d(\psi^j\circ \theta)}{dt}(t) \cdot g_{ij} \Big)^{1/2} dt \\ &=& \Big(\sum_{i,j=1}^n \frac{d\phi^i}{dt}(t) \cdot \frac{d\phi^j}{dt}(t) \cdot g_{ij} \Big)^{1/2} dt \\ &=& ||\pi_t||dt \end{array}\]

※但し最後の\pi_tはtにおける\phiの接ベクトルで, 積分の際区間は適切に変更するとする.

p\in Mの近傍U上定義される可微分関数の族(f^i)_{1\leq i\leq n}の微分の族(df^i)_{p,1\leq i \leq n}が一次独立であることと族(f^i)がpのまわりの局所座標系を張ることが同値であることを見る.
まずpを含むMの任意の座標近傍(V,\psi;x_1,\ldots,x_n)とUとの交わりU'は開集合で, この上における(df^i)_p(x_1,\ldots,x_n)に関する成分を(\xi_j^i)とする.
つまり

    \[(df^i)_p = \sum_j \xi_j^i dx_j\]

このとき(df^i)_pの族の一次独立であることと, 行列

    \[A=\begin{pmatrix} \xi^1_1 & \xi^1_2 & \cdots & \xi^1_n \\ \vdots & \vdots & \ddots & \vdots \\ \xi^n_1 & \xi^n_2 & \cdots & \xi^n_n \end{pmatrix}\]

\omega = {}^t(dx_1,\ldots,dx_n)に対し,

    \[A\omega = 0\]

が非自明な解を持たないことは同値. つまり\det{A}\neq 0である.

\xi^i_j=(\frac{\partial}{\partial x_j})_p (df^i)_p = \frac{\partial f^i}{\partial x_j}(p)と書けるのでJ_f(p)\neq 0と同値である.

陰関数定理により, U’に含まれるある近傍U”上fは同相f:U''\cong E^nを定める.
すなわちf^i(p) = y_i \in Eと書けば, p = f^{-1}(y_1,\ldots,y_n)\ (\forall p\in U'')はEの元の組(y_1,\ldots,y_n)によって一意的に定まる.

これは族(f^i)U''\subset Uの局所座標系を定めることと同値である.

\phi:R^3\rightarrow R^3; \phi(x,y,z)=(xy,y,z)で定義された可微分写像の2次元球面への制限を\phi|_{S^2}=\psiと書く.

A^{\pm}=(0,0,\pm 1),\ S^{\pm}=S^2\backslash A^{\pm},

    \[u^{\pm}(z=(x,y)\in R^2)=\frac{1}{|z|^2+1}(2x,2y,\pm(|z|^2-1))\]

と定義するとき, S^2の座標近傍系として\{(S^{\pm}),(u^\pm)^{-1}\}が取れる. そこで

    \[\psi = \begin{cases} \psi^+=\phi\circ u^+ & (over\ $S^2\backslash A^+$) \\ \psi^-=\phi\circ u^- & (over\ $S^2\backslash A^-$) \end{cases}\]

と定義すると, これは確かにφを球面に制限した写像を定義する. \tau = |z|^2+1とおくと,

    \[\psi^{\pm}(z) = (4xy/\tau^2, 2y/\tau, \pm(|z|^2-1)/\tau)\]

と表せる. また

    \[\Big(\frac{\partial (\psi^{\pm}_{i=1,2})}{\partial (x,y)}\Big)_p = \begin{pmatrix} \frac{4y\tau^2-16x^2y\tau}{\tau^4} & \frac{4x\tau^2-16y^2x\tau}{\tau^4} \\ -\frac{4xy}{\tau^2} & \frac{2\tau - 8y^2}{\tau^2} \\ \frac{\pm 4x}{\tau^2} & \frac{\pm 4y}{\tau^2} \end{pmatrix} \ \cdots \ (e)\]

である. この第12行, 第13行, 第23行の小行列式が0であるという条件を順にd_i\ (i=1,2,3)と書けば, 少なくとも二つのd_i,\ d_jが同時に成立することが, {\rm rank}_p(\psi)\leq 1となる必要条件である.

計算して整理すると,

    \[\begin{array}{ll} (x^2-3y^2=-1)\vee(x^2-y^2=1) & (d_1) \\ (x=\pm y) & (d_2) \\ (x=0)\vee(x^2-y^2=-1) & (d_3) \end{array}\]

を得る. d_1\wedge d_2,\ d_1\wedge d_3,\ d_2\wedge d_3から(\pm 1/\sqrt{2},\pm 1/\sqrt{2}),\ (0,\pm 1/\sqrt{3}),\ (0,0)の7点が{\rm rank}_p(\psi)\leq 1となる候補である. 式(e)に代入して整理すると,

    \[{\rm rank}_p(\phi) = \begin{cases} 1 & (p = (0,0,\pm 1), (0,\sqrt{3}/2,\pm 1/2) \\ 2 & others \end{cases}\]

この結果から, 球面上の写像φ(の像)はrank=1となる上記の4つの点を除いて実2次元空間に挿入できる(埋め込むにはinjectivityを要求するが, y=0と置いたとき, 0でないxについて, \psi^{\pm}のxに関する対称性から\psi(x,0)=\psi(-x,0)が成り立つので, 埋め込みにはならない).

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