通信界隈に思う所

最近モバイル・ルーターを調べてるのだが、そこで以下のパンフレットを見かけた[1]いずれもここから契約ページに直接飛べる。

カOモもBroad OiMAXもPowered by UQ OiMAXとなっており、免責事項も一言一句同じになっているのが分かる。

これを見てまず考えるのは、こういうのを不当表記と言うだろうということだ。

通例「期間dにおける通信容量はcである」という言明は、通信量をTとし、保障される通信速度sを既知として、

    \[S=S(d, T)\geq s \quad \text{if }T\leq c \qquad \text{(1)}\]

と表すことができる。

ここで通信容量が無制限というのであれば、数理的にはS\geq sが(dにもTにも依らず)常に成り立たないといけない。

一方免責に書いてあるのは、未知の部分期間d_1,d_2\subset dと未知の通信量\tau及び未知の通信(制限)速度\thetaを導入して

    \[P(S(d_2, T)<\theta\vert T(d_1)\geq\tau)>0 \qquad \text{(2)}\]

等と言ってるのである。

\theta>sの場合は(1)と矛盾しないが、d_1,\tauが指定されておらず恣意性があるので契約上問題がある[2]不誠実。

\theta\leq sの場合は明らかな矛盾が生じ、(1)又は(2)が誤謬である。

個人の経験上、サービス提供者側が意図してそうしたかどうかはともかく、契約[3] … Continue readingにこのようなあからさまな誤謬が紛れている事を日常で目にする事は少ない。

今や誰もが生活のインフラとして利用するネットワークを提供する立場でありながら、(日本の)通信業界はいつまでもこのようであって、ほんの数年遡れば携帯端末の流通規制や契約解除問題(不当な額の解約費)も酷いものだった。

これが通信業界に感じるままならなさ、気味悪さであって、携帯電話やモバイルルーターの契約を見直したいと思いながら、何年もの間切り替えられないでいる理由になってる。

Footnotes

Footnotes
1 いずれもここから契約ページに直接飛べる。
2 不誠実。
3 パンフレットとは言え、個人が契約を決断するのに十分な効力を持つという意味において、これが契約内容に言及していないとするには非合理だと思う。