最近は, ホモロジー代数でも構成の正しさを調べる手段が重要なことが多く, 特に代数的構成は詳しく知っておきたい.
命題: 直和の構成とテンソル積の構成は可換である
証明: 同型を示せばOK.
Balanced map をと規定すれば, が自然なバランス写像に対し引き起こす写像で, 次の図式を可換にするものが一意的に定まる.
実際任意のに対し, は一意的に定まる.
更に, Balanced map が引き起こす準同型についても同様のことが成り立つ. として一意性と普遍性を保ったまま拡張することができるので, 可換図式
を得る(は直積と直和の可換性から).
このときBalanced mapの与え方は任意であったので,
とおけて, と一意性から,
が同型を与える■
命題: 有限生成射影的左R加群Mと, 任意の左R加群Nに対し,
が成立する.
証明: が同型対応であることを見たい.
まず左R加群Mの双対加群は, 右R作用により, 右R加群の構造をもつ.
Mが有限射影的であるから, 自由加群Fの直和因子であって. さらにAbel群の双対性によって, が成立している.
∵が全単射であることから分かる.
また一般に, 右R自由加群と左R加群とのテンソル積は, 自由加群の階数rに対し, 左R加群のr冪に同型()で, 自由加群はその双対と同型である(基底の準同型を考える必要がある).
これらのことを合わせると, 次の等式が成り立つ.
さらに次の図式も可換になる.
以上から同型が得られた■