良い気候になってきましたな。
先日岡本というところに行って来ました。
なかなかに洒落た町並みで、京都のような大きさや華やかさはないものの、欧風の小道や店舗、カフェが立ち並んで小さな神戸という雰囲気が漂っていました。
今日も普段気になった内容について構成を追ってみたり、具体例を吟味して解説しています。
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Proposition: 可換環R上の対称式が与えられたとき, 多項式で
を満たすものを作るアルゴリズムを記述せよ.
Proof: 構成は [中島 匠一, 代数方程式とガロア理論)] に倣った. 存在の証明もそちらを参照されたい.
まずは(n-1)変数多項式で, (n-1)変数基本対称多項式によって,
と表される(表されるまでの添字の番号が大きいものから消していって, (n-k)変数基本対称多項式を作れば良い).
そこで
とする(右辺第二項が, の場合と変わって「n変数」基本対称多項式になっていることに注意)と,
が一般に成立するから,
よってFは単項式としてを因数に持つが, Fの対称性からを因数に持たざるを得ない. 結果として
を得て,
は総次数がnより低い対称式で, 有限回この操作を繰り返して問題のgを得る■
Proposition: 区間[a,b]上の単調増加関数f(x)の不連続点は高々可算個である
Proof: 区間[a,b]の或る点xにおいてf(x)が連続であるための必要十分は, xにおける振動量あるいは振幅が0に等しいことである. 振幅の記号を使ってと定義すれば, fの不連続点全体の集合は
と表せる. このAが零集合であることを示すことが目標であるが, 高々可算な零集合の可算和はまた零集合であって, Aの形からA_nが零集合であることを示せば良い.
[a,b]をN等分するような分割を⊿とおき, 分点によって作られるN個の区間の振幅の総和はf(b)-f(a)以下である. すなわち
A_nは増加列A_1⊂A_2⊂…⊂A_n⊂…を持つので, 十分小さい任意の正数ε>0についてA_ε={x∈[a,b] | a(f,x)≧ε}を被覆するものを考える. 区間列でA_εと交わるものの開核をとし, 漏れなく被覆するため分点{a_0,a_1,…,a_N}も付け加えて,
となるようにする. 特に一点xに置ける不連続性はxの近傍における性質であるので, 必要なら分点Nを更に大きくとって各小開区間の幅を小さくし, 各々の区間に含まれる不連続点を唯一つにすることができる. {a_0,a_1,…,a_N}は長さの総和ε以下の開区間J_0,…,J_Nで覆う(J_j=(a_j-ε/2(N+1),a_j+ε/2(N+1))とすれば良い). 改めて書けば
各上であるから, k個の和を取って,
即ちであるが, kは不連続点の個数であり, f(b)-f(a)が有限であるからkも有限である. 各は不連続点が唯一つ含まれるようにとってあるから, 不連続点はk個. J_*と同様にして長さの総和ε以下の開区間で被覆でき,
である. Aはこのようなものの加算個で被覆されるから零集合である■
Proposition: 集合代数Mの「可算個の元A_1, A_2, …が互いに素ならその和集合はMに属す」はMがσ代数であることの十分条件である.
Proof: Mの任意の可算個の元A_1, A_2, …から互いに素なMの可算集合族A_k(1), A_k(2), …が構成できることを示せば良い.
可算集合族の可算和はまた可算和であるから, あるi∈NについてA_iが互いに素なMの可算集合族の和で表せれば良い.
A_iと異なる任意の可算集合族の元A_jとA_iとが互いに素ならそのような和としてA_i自身をとればよいから, A_iとある可算集合族の元が交わりを持つものと仮定する.
A_iと交わりを持つような族の添字集合をK_iとおくと, 仮定よりK_iの濃度に拠らずであるから.
直ちにが互いに素なMの可算集合族の和の表現であると分かる■
Proposition: 集合, 集合はすべてボレル集合.
Proof: 位相空間を固定し, その集合, 集合をそれぞれG, Fとする. 目標はを示すことである. Xのボレル集合族Bは, その完全加法性から, 開集合系と閉集合系の和, および各々の系に含まれる集合の可算和, 可算交叉, 可算差から生成されるもの全体であり, そうして生成されたBの元同士の可算和, 可算交叉, 可算差によっても閉じている. 従っては開集合の可算交叉で書けるものであるのでBに含まれ, またはの可算和であるのでまたBに含まれる. はの双対で, ド・モルガンの定理からの可算差に書けるから同様の議論でBに含まれる■
Proposition: 漸化式における「特性方程式」の意味を線型代数の立場から明確にせよ.
Proof: を考える. 初項とおいて, 数列のベクトル表記
を得る. 初項aを決めれば数列の全ての要素が決まるので, の形の数列全体をR加群として考えた空間Mにおける階数は1である(なる数列全体はある要素の和を見れば分かるとおり, 加法について閉じていないので不十分). そこで包含写像によってaを直和空間の元として考えたものをとする. 即ち
そこでMにおけるの各要素をτによっての元と捉えれば, 線型変換
は, なる数列全体と実数との直和に始域を制限したとき, 終域もになる. つまりの中で作用が閉じている線形変換である.
Tは明らかに
の形をしており, b≠0, b≠1を仮定するとき相異なる固有値b, 1が定まり, 対応する固有空間は
この1に対する固有空間の生成系が特性方程式の解になっているが, 隣接3項間の漸化式に拡張した場合どうなるだろう.
に対してとおいて同様の手続きで得られる固有空間を求めると,
これらの形から, 隣接k項漸化式(k≧2)
を考えるとき, k=2の時とk>2の時で特性方程式の意味が異なることが分かる.
k=2の時, 漸化式の定める係数拡大行列の固有値1に対する固有空間を生成するベクトルの傾きである. k>2においてはの固有多項式から拡張した分の因数(x-1)を除いたものである■