数学とは全く関係の無い用事で忙しくしてます。
腰を据えてじっくり取り組める時間が欲しい。
Lemma 1.1: Aを(可換)環, Iを冪零元から成るイデアルとする. a∈AのA/Iにおける像が単元なら, aはAの単元である.
Proof 1.1:
の唯一の極大イデアル
を見ると分かるが, Aの単元
と
は交わらない. つまり
を満たす. 実際
が
を満たせば
だから,
なるa∈Aが存在すれば矛盾をきたす.
Iは
の部分イデアルであるから勿論単元と交わらない. そこで剰余環A/Iの上で[a][b]=[ab]=ab+I=1+I ([*]はA/I上の像の意)を満たすb∈Aがあるなら, 同じbについてab=1である■
Lemma 1.2:
を環とするとき,
の素イデアルは
![]()
の形である.
Proof 1.2: 各
に対し
の生成元(の一つ)を
として埋入した像
に関し,
が成立する. これは直積環と素イデアルの定義から係数を無視して素イデアルにおける積の性質を使えば,
が言え, 直積環の素イデアルを
の場合を除いて第
要素がPの元であるようなもの全体として特徴付けることができる(尤も, 直積環の一般の元は必ずしも
の形をしておらず, むしろ
と書けるが, 極端な例を使ってむしろ素イデアルの形を特徴付けられる)■
Lemma 1.3: アルティン環はネータ環である
Aをアルティン環とすると, A加群として
を示せれば, Aの異なるA部分加群
に対し,
が成立し, Aの有限組成列を作る部分加群全体がAの部分加群と一致し, 部分加群の集合に関する昇鎖条件から命題が言える.
まずAの極大イデアルは有限である. そうでないとすると, 極大イデアル
による降鎖列
![]()
が無限降鎖列を成すからアルティン環の仮定に反する. そこで
を有限の極大イデアルの列とすると,
![]()
と書ける. これも一応示しておく.
の場合,
は常に成立するから, 逆を示す. 極大イデアルは素イデアルだから,
と
は互いに素である(つまり
). そこで
と書け,
. 後は帰納法による.
降鎖列
![]()
は有限で止まるから,
なる
が存在.
そこで
をA加群と見做すときのannihilator
をJとおくと,
![Rendered by QuickLaTeX.com \[\begin{array}{lcl} (J:I) &=& ((0:I^s):I) \\ &=& \{ a\in A| axy=0\ (\forall x\in I,\ \forall y\in I^s)\} \\ &=& (0:I^{s+1}) \\ &=& J \end{array}\]](https://blog.icefog.work/wp-content/ql-cache/quicklatex.com-cadbe2319ece4570b43e343433e360bb_l3.png)
である. 今
を示すと,
はA加群として0ということだから, イデアルの降列
![Rendered by QuickLaTeX.com \[\begin{array}{lcl} A &\supset & p_1\supset p_1p_2 \supset \ldots \supset p_1\cdots p_{r-1} \supset I \\ & \supset & Ip_1 \supset \ldots \supset I^2 \supset I^2p_1 \supset \ldots \\ &\supset & I^s=0 \end{array}\]](https://blog.icefog.work/wp-content/ql-cache/quicklatex.com-779f0bf39d71e30728254c8f56f74f0c_l3.png)
を考えることができる.
このとき, 列の隣接2項を
と書けることに注意して, 同型
によって
は体
上のベクトル空間と考えられる. 一方環Aのアルティン性により, これは有限ベクトル空間であって, その有限和の長さから
![Rendered by QuickLaTeX.com \[l(M/Mp_i)<\infty \Rightarrow l(A)=\sum^{s-1}_i l(A_i/A_{i+1})<\infty\]](https://blog.icefog.work/wp-content/ql-cache/quicklatex.com-08b83abe9f6a77fe0e39f1c08350e8a0_l3.png)
が言えて, 証明が完了するので, これから
を示す.
もし
と仮定すると,
なるJより真に大きいイデアルの中最小のイデアル
が存在する.
は
より
と書ける(JをJ’の部分A加群と考えるときのJによる左分解と考えられるが, J’の最小性より一つの元を付け加えて拡大したもの).
中山の補題(の対偶)により,
![Rendered by QuickLaTeX.com \[\begin{array}{lcl} J' = J+IJ' &\Rightarrow & J'/J=I(J'/J) \\ &\Rightarrow & (1+x)J'/J=0\ (\exists x\in I) \\ &\therefore & J'/J=0\ (\because 1+x\in A^\times) \\ & \Rightarrow & J'=J \end{array}\]](https://blog.icefog.work/wp-content/ql-cache/quicklatex.com-eccffc2933553c59c8b0bb6b17fbe260_l3.png)
を条件
により逆に辿り,
![]()
を得る.
今
の極小性(
のA加群としての単純性)より,
でないといけない. これは
を意味するが,
となり, 矛盾.
■