カフェインの取りすぎに注意

(濃い目の)コーヒーを一日3杯飲んだら、熱くないのに汗をかき、異様な脱力状態に陥ったという・・・

以下検定で時間が足りなかった問題.

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R^2上の原点を中心とする単位円周上に異なる2点A,Bを線分ABがOを通らないよう定める.
2点A,Bにおける接線の交点Cの座標をAとBの座標A(a,b), B(u,v)を用いて表すと,

異なる表示:

    \[\begin{array}{l} C_1(\frac{v-b}{av-bu},\frac{a-u}{av-bu}) \\ C_2(\frac{a+u}{1+au+bv},\frac{b+v}{1+au+bv}) \end{array}\]

を得た. これらは正しいか?
正しいならCの見かけ上の表示が異なっても良い理由を, 正しくないならその理由を説明せよ.

説明:

Aは単位円周上を動くから, x軸からのAの極座標における偏角をθと書くとき

A(a,b)=A(\theta)=(\cos\theta,\sin\theta)\ (\theta\in [0,2\pi))

と書ける. また, BをAから正の向きに角φ回転させた点と見れば,

    \[\begin{array}{lcl} B(u,v) &=& \begin{pmatrix} \cos\phi & -\sin\phi \\ \sin\phi & \cos\phi \\ \end{pmatrix}A(\theta) \\ &=& (\cos(\theta+\phi),\sin(\theta+\phi)) = B(\theta,\phi) \ \phi\in(0,\pi) \end{array}\]

と書ける. 点C(x,y)に関する条件から,

    \[\begin{array}{lcl} && \vec{AC}\perp A(\theta),\ \vec{BC}\perp B \\ &\therefore & (C-A(\theta))\cdot A(\theta) = (C-B(\theta,\phi))\cdot B(\theta,\phi) = 0 \\ &\therefore & A(\theta)^2=1=C\cdot A(\theta)=C\cdot B(\theta,\phi) \\ &\therefore & \left\{ \begin{array}{l} x\cos\theta + y\sin\theta - 1 = 0 \\ x\cos(\theta+\phi) + y\sin(\theta+\phi) - 1 =0 \end{array} \cdots (1) \right. \end{array}\]

(1)の左辺を4変数写像hと見做して空間Mを

M=\{(x,y,\theta\phi)\in R^2\backslash D^2\times [0,2\pi]\times (0,\pi)=U | h=0 \}

と定義する.

hは明らかにC^\infty級で, Uの接ベクトル空間からh(U)の接ベクトル空間への線型写像として

    \[(dh)_{p\in M}=\begin{pmatrix} \cos\theta & \sin\theta & -x\sin\theta+y\cos\theta & 0 \\ \cos(\theta+\phi) & \sin(\theta+\phi) & * & * \end{pmatrix}\]

\cos\theta\sin(\theta+\phi)-\sin\theta\cos(\theta+\phi)=0 \Leftrightarrow \phi\equiv 0 \mod \piにより全射(特に臨界点が無いからsubmersionである).

つまり{\rm rank}(dh)_{p\in M}=2であり, Mは2次元多様体.
このことからC(x, y)はM上(θ,φ)について解ける.

実際h=0を解いて

    \[\begin{array}{lcl} \left\{ \begin{array}{l} x\sin\phi + \sin\theta - \sin(\theta+\phi) = 0 \\ -y\sin\phi + \cos\theta - \cos(\theta+\phi) = 0 \end{array} \cdots (1) \right. \end{array}\]

から

    \[\begin{pmatrix} x \\ y \end{pmatrix} = \frac{1}{\sin\phi} \begin{pmatrix} \sin(\theta+\phi) - \sin\theta \\ \cos\theta - \cos(\theta+\phi) \end{pmatrix} \cdots (2)\]

が同相を与えてる. 普通に計算して

    \[\begin{array}{lcl} \left\{ \begin{array}{l} av-bu=\cos\theta\sin(\theta+\phi)-\sin\theta\cos(\theta+\phi)=\sin\phi \\ v-b=\sin(\theta+\phi)-\sin(\theta) \\ a-u=\cos\theta - \cos(\theta+\phi) \end{array} \right. \\ \left\{ \begin{array}{l} 1+au+bv=1+\cos\phi \\ a+u=\cos\theta+\cos(\theta+\phi) \\ b+v=\sin\theta + \sin(\theta+\phi) \end{array} \end{array}\]

からCの座標がいずれも(2)と一致するのが確かめられるし, Cの異なる座標の間の座標変換が同相で与えられる. すなわちCの異なる表示は座標近傍の取り方の違いによるものである■

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