可換環4

oowriterで横線がしつこくて困った. —が横線に置き換わるのは便利なのだが, なんとBackspaceでもDeleteでも消えない.

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今日は可換環というより数論の内容だが, p進数(p-adic number)とその表現について備忘(時々所見)を述べる. 位相については次回に言及したい. p進展開とp進法展開は整数に関しては違いがない. p進展開はp進法展開の整数からp進数体への拡張と見れる.

まず順系と逆系について導入するために, 以下Iを有向集合とする. これは半順序集合であって, \forall i,j\in I,\exists k\in I, i,j\leq kを満たすものである. 群と準同型の族(A_i)_{i\in I},\ (f_{ij})_{i\leq j}が存在し, 準同型の族がそれぞれ

    \[f_{ij}: \begin{cases} A_i\rightarrow A_j\ (direct) \\ A_j\rightarrow A_i\ (inverse) \end{cases} ,\forall i\leq j\in I\]

と定義されるとき, 以下の性質:

(1) f_{ii}=Id_{A_i},\ \forall i\in I
(2) f_{ik}=\begin{cases} f_{jk}\circ f_{ij}:A_i\rightarrow A_k\ (direct) \\ f_{ij}\circ f_{jk}:A_k\rightarrow A_i \ (inverse) \end{cases}, \forall i\leq j\leq k\in I

を満たす対, ((A_i)_{i\in I}, (f_{ij})_{i\leq j\in I})をI上の順(逆)系という.

順系では群の族として加群を考えるので,

    \[C=\begin{cases} \bigsqcup_{i\in I} A_i \ (direct) \\ \prod_{i\in I}A_i \ (inverse) \end{cases}\]

をそれぞれに応じて定める. Cは加群の直和, あるいは群の直積群である. このときDを

    \[D=\begin{cases} \big\{ x_i-f_{ij}(x_i) : \forall i\leq j\in I,\ x_i\in A_i\big\}\ (direct) \\ \big\{ x_i-f_{ij}(x_j) : \forall i\leq j\in I,\ x_i\in A_i\big\}\ (inverse) \end{cases}\]

(の右辺)で生成されたCの部分群と見て(あくまでDと書くことにする), 剰余群

    \[C/D=\begin{cases} \lim_{\rightarrow}A_i\ (direct) \\ \lim_{\leftarrow}A_i\ (inverse) \end{cases}\]

をそれぞれ順(逆)系の順(逆)極限と呼ぶ.

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以下p進数を考えるのに, 逆系のみ使う.

整数環Zにおける素数pによる局所化Z_pをp進整数環(p-adic number ring)と呼ぶ. 積閉集合を逆にした余談(*1)はさておき, p進整数環Z_pの任意の元xは, pと互いに素な整数u, vによってx=p^n(u/v)\ (n\geq 0,\ n\in Z)と表される. 以下の図式,

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が可換になり, 特に下の矢印は同型である. 実際Z_p \ni a=p^m(u/v),\ u,v\in Z_p^\timesとして, 準同型

    \[\chi: Z_p \ni p^m(u/v) \mapsto p^muv^{-1}\mod{p^n} \in Z/p^nZ\]

の核がp^nZ_pになる.

x\in Z_p,\ ord_p(x)=m\in Zのとき, x=p^m(u/v)\ (u,v\in Z_p^\times)と表せる. このとき上の同型χによるu/vの像は単元であり, 0\leq\chi(u/v)\leq p-1となるものがただ一つ存在する. u/v-\chi(u/v)\in pZ_pだから, x=p^m\chi(u/v)+p^{m+1}(u'/v')と表せる. 同様の手順でu'/v'-\chi(u'/v')\in pZ_pであるような0\leq\chi(u'/v')\leq p-1を一意に定めることができ, これによりx=p^m\chi(u/v)+p^{m+1}\chi(u'/v')+p^{m+2}(u'/v')を得る. これを(もし可能なら)u_h/v_h=0となるまで続けて, 各p^kの係数\chi(u_k/v_k)\in [0,p-1]を右から左に並べたものをp進数と呼ぶ.

アルゴリズムとしてはユークリッドの互除法をp進数体上でやるということである.

    \[\begin{array}{lcl} 51 &=& 0 + 3\cdot 17 \\ 17 &=& 2 + 3\cdot 5 \\ 5 &=& 2 + 3\cdot 1 \\ 1 &=& 1 \Rightarrow 51 = 1220_3 \end{array}\]

    \[\begin{array}{lcl} 8/15 &=& 0 + 3^{-1}\cdot (8/5) \\ 8/5 &=& 1 + 3\cdot (1/5) \\ 1/5 &=& 2 + 3\cdot (-3/5) \\ -3/5 &=& 0 + 3\cdot (-1/5) \\ -1/5 &=& 1 + 3\cdot (-2/5) \\ -2/5 &=& 2 + 3\cdot (-4/5) \\ -4/5 &=& 1 + 3\cdot (-3/5) \\ & \cdots & \\ \Rightarrow 8/15 &=& 3^{-1} + 2 + 3^2 + 2\cdot 3^3+3^4\ldots = ...12102.1_3 \end{array}\]

右辺の項が発散し, 左辺が8/15というのは感覚と離れていると感じるが, これはp進収束の意味で正しい. この様にして, 任意のp進数体の元はpの有限負巾およびたかだか加算の正巾の和として一意的に表される.

さて加群の族(Z/p^iZ)_{i\in I}と写像\lambda_i: Z/p^{i+1}Z\rightarrow Z/p^iZ; \lambda(x\mod p^{i+1})=x\mod p^iは逆系を成す.

p=3とおいたときの逆極限\displaystyle{M=\lim_\leftarrow Z/p^iZ}において上の例: 8/15=...12102.1となることを見る. 同型Z/p^iZ\cong Z_p/p^iZ_pがあるので8/15=a=1/3+2+3^2+2\cdot 3^3+3^4+(-3/5)\cdot 3^5\in \bigoplus_i Z_p/p^i Z_pとおき, a \mod p^i=\overline{a}_iと書けば,

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のような加群の列が取れる. これが逆極限によるp進整数環Z_pのp進数体Q_pへの完備化である.

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整域⊆被約環(reduced)

Counterexample Let e(≠0,1) be idempotent and K be a field. A=Ke⊕K(1−e) is not an integral domain. Prime ideals of A are p=Ke⊕0 and q=0 ⊕ K(1−e). Elements of A−p are of the form k’e+k(1−e) (k≠0). Ap={b(1−e)/(k’e+k(1−e)) | b,k,k’ ∈K,k≠0} is an integral domain. Also Aq is an integral domain.

命題. AをUFD, k=S^{-1}Aを商環. X=\{\rho\in Spec(A): \rho\cap S=\emptyset \},\ Y=Spec(k)とする. このとき, XとYは同等である.
証明. 環の準同型A\rightarrow kの逆像をとることにより, kの素イデアルはAの素イデアルに写る. また

    (i) kの全てのイデアルは拡大イデアルである

ことにより, kの任意の素イデアルqはAのあるイデアルp_1q=p_1^e\in Yと書けるので,

    (ii) q=(1) \Leftrightarrow p\cap S\neq \emptyset

により, p^e=q=(1)\Leftrightarrow \emptyset \neq p\cap S\subset p^e\cap Sが成立する. これはkの素イデアルの縮約イデアルは素イデアルでかつSと交わらないことを示すので, X\supset Y.

逆にp\in Xを与えたとき, 整域A/pとその商体が得られる.
k/p^e\cong (S^{-1}\mod p)(A/p)から, S\cap pが空かそうでないかに応じ, k/p^eが0でないか0であるかが決まる. 詳しくは\emptyset \neq S\cap p\ni tとするとき, tx\in p\ (x\in A/p)によって全てのA/pの元が零化される.

p\in XよりS\cap p=\emptysetであるからk/p^eは零でなく, 整域の局所環はまた整域である(自然な環準同型A\rightarrow S^{-1}A;\ x\mapsto x/1はAが整域であれば単射である)ことから, 上の同型の右辺よりk/p^eが整域. つまりp^eがkの素イデアルとなる. 故にX\subset Y

命題3.2: αを環Aのイデアルとし, S=1+αとおく. このときS^{-1}\alphaS^{-1}Aのヤコブソン根基に含まれる.
証明: Sが積閉であることはすぐ分かる. 1+ax/(1+a')(1+a'')\ (a,a',a''\in\alpha,x\in A)が単元であることを言う. しかし計算ですぐに,

    \[\begin{array}{lcl} 1+ax/(1+a')(1+a'') &=& ((1+a')(1+a'')+ax)/(1+a')(1+a'') \\ &=& (1+\mu)/(1+\nu)\ (\exists \mu,\nu\in\alpha) \end{array}\]

がでる. これは単元であるからS^{-1}\alpha\subset Jac(S^{-1}A)

命題3.6: A\neq 0を環. Σを0\notin SなるAの全ての積閉集合Sの集合とする.
このときΣは極大元を持つ. また, S\in\Sigmaが極大であることは, A-SがAの極小な素イデアルであることの必要十分条件である.
証明: Zorn’s LemmaによりΣが帰納的順序集合であることを示せば極大元の存在が分かる. {1}∈ΣだからΣは空でない. Σは包含について順序集合となるから, その任意の全順序部分集合σにおいて\bigcup \sigmaがσの上限を与える. →を示すのにT∈Σを極大元とし, p=A-Tとおく.

(l1) pはイデアルである
x∈p, つまりx\notin Tとすると, あるTの元tと自然数nが存在して, tx^n=0となる. 実際そうでないと仮定すると, t=1とおいてx^n\neq 0\ (\forall n\in N)であるから, T\cup \{x,x^2,\ldots\}がTより大きい積閉集合になり, Tの極大性に矛盾する. そこでT\cup \{x\}で生成される積閉集合T_xは0を含む.
故に(x)\cup T=\emptyset. 実際ax=sとなるようなa∈A, s∈Tがあれば, 先の議論により0=(atx)^n=(ts)^n\in T. これは矛盾である. 以上からx∈pなら(x)⊂p. 和についても, x, y∈pならsx^n=ty^m=0\ (\exists n,m\in N,\ s,t\in T). そこでx+y\in Tならst(x+y)^{n+m}=0\in T. これは矛盾であるからx+y\in p

(l2) pは素イデアルである
Tの元は積について閉じているので, p=A-Tという作り方から明らか.

(l3) pは素イデアルで極小である
p'\subsetneq pとなる素イデアルp’が存在するとする. pの作り方から明らかに

    \[T\subsetneq T'\ (p'=A-T')\]

となる積閉集合T’が存在するが, Tの極大性からT=T’, 即ちp=p’である.

逆にpが極小の素イデアルとする. T=A-pは積閉集合になるので, T∈Σ. TがΣで極大とないとすれば, Tを真に含むΣの部分集合族が空でない. それをΣ’⊂Σとする. 包含順序によってΣ’の全順序部分集合に上限が存在するので, Zorn’s Lemmaによって{\rm sup}\Sigma'=S\supsetneq Tが存在する. これはΣにおいても極大元である(U\subset S\ (\forall U\in \Sigma)による). (l1)-(l3)により, A-Sは極小な素イデアルであるが, それはpの極小性に矛盾する.

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*1:

積閉集合を上の局所化とは逆にしてS=\{p^k:k=0,1,\ldots \}とすると, 局所化S^{-1}Zは, Sが飽和している(xy\in S\Rightarrow x\in S\wedge y\in S)ので全商環になる. 一方この場合, I=Z-Sは必ずしも整数環Zのイデアルにはならない. というのも任意のx∈Iと任意のa∈Zに対し, ax∈Iであるから, (x)⊂Iで, x, yはSの元でないので, xy\in Iは問題ない. しかしIは加法的に閉じてはおらず, 例えばp=5とし, x=2, y=3∈Iをとれば簡単に反例が作れる(x+y∈S). 実際のところZはPIDであり, 従ってUFDであるのでその局所環のイデアルはZのイデアルの拡大である. つまるところこの環Rにおけるイデアルはpと互いに素なq∈Zであって, S^{-1}(q)の形をしている.

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