holomorphic function germsによるcovering

Riemann Surface Xと, 有理型関数体上のn次既約多項式P\in \mathcal{M}(X)[T]が与えられたとき, Xのbranched holomorphic n-sheeted coveringとなる新しいRiemann Surface Yが同型を除いて一意的に得られる. すなわち対応

    \[(X,P)\mapsto (Y,\pi,F)\]

があり, (Z,\pi',G)(X,P)から得られた同様の性質を満たすalgebraic functionとする. そうすると図

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を可換にするbiholomorphic mapping \sigma:Z\to Yがただ一つ存在する.

    \[{\rm Deck}(Y/X)\cong {\rm Aut}_{\mathcal{M}(X)}(\mathcal{M}(Y))\]

が群の同型となり, covering map \pi:Y\to XがGaloisであるとき, またその時に限り{\rm Aut}_{\mathcal{M}(X)}(\mathcal{M}(Y))がGalois群になる.

この新しいRieman Surfaceの構成​1​[1]p.54に詳しく書かれてありますが, 特に重要だと思うので概略を書いておきます.

1. Pの判別式のpoles, branch points, 及びzerosを除く;

判別式\Delta=\Delta(x)\in \mathcal{M}(X)X上の有理型関数である. また, poles, branch points, zerosは合わせて有限個である. いずれか一つでも無限個あれば, Riemann Surface上の有理型関数に対する一致の定理, Pの既約性に矛盾する.

2. それらを除いたXの部分集合をX'とする;

この上での多項式

    \[p_x(T)=T^n+c_1(x)T^{n-1}+\ldots+c_n(x)\in C[T]\]

がdistinct n zerosを持つ. この状況において, Pxにおけるn個のholomorphic function germs \{\phi_\nu\}\subset \mathcal{O}_xを根に持つ​1​(Cor.8.8). 従って

    \[P(T)=\prod_{v=1}^n(T-\phi_\nu)\]

と書ける. 同じことだが, x\in U\subset X'なる十分小さい開近傍Uに対し\{f_\nu\}\subset \mathcal{O}(U)が存在し,

    \[P(T)=\prod_{v=1}^n(T-f_\nu)\ over\ U\]

と書ける. これらは局所的な話で, 定義から同じものである. 実際x\in U,V,\ f\in \mathcal{O}(U),\ g\in\mathcal{O}(V)に対し,

    \[f=g\ in\ \mathcal{O}_x\Leftrightarrow \exists W\subset U\cap V\neq \emptyset,\ f|_W=g|_W\]

である.

3. 最後に

    \[Y:=\Big\{ \phi\in\mathcal{O}_x : x\in X',\ P(\phi)=0 \Big\}\subset |\mathcal{O}|\]

がholomorphic functionsのsheafが誘導する位相に関してhausdorffであって, Pの既約性から連結性, 及びXから誘導される複素構造によってRiemann Surfaceとなる. \pi:Y\to Xは通常のprojectionとしてn-sheeted holomorphic coveringとなる.

(X,P)からこうして得たRiemann Surface (Y,\pi,F)のことを, ​1​では多項式Pから得られた代数関数と呼んでいる.

(X,P)から(Y,\pi,F)が得られているとして, K=\mathcal{M}(X),\ L=\mathcal{M}(Y)とおくと, 体の拡大

    \[\pi^*:K\hookrightarrow L;\ f\mapsto f\circ \pi\]

がある. しかも\exists (f,x)\in K\times X\ s.t.\ \ y,y'\in \pi^{-1}(x),\ y\neq y',\ f(y)\neq f(y')のとき, この拡大次数はnである.

Riemann Surface上の有理型関数体の拡大次数に関する最後のステートメントは, Riemann Surfaceの間のbranched holomorphic n-sheeted covering map \pi:Y\to Xに成立する事実で, 主張として次の3つに分割できる(証明はここではしないが, ​1​Theorem. 8.3参照).

(i) L=\mathcal{M}(Y),\ K=\pi^*\mathcal{M}(X)と置くとき, L/Kは代数拡大である.
(ii) f\in Lで最小多項式f_0の次数が最大であるものをとると, L=K(f_0). しかもdeg(f_0)=n.
(iii) deg(f_0)=m<nとする. このとき, 各点x\in Xy_j\in\pi^{-1}(x)に対し, f_0(y_i)\neq f_0(y_j)\ (i\neq j)なるファイバーの点の個数はmを超えない.


一般の複素関数論におけるWeierstrassの予備定理は, 全ての座標について正則であって, 一つの複素座標wに関して正常かつモニックな多項式Fが, 基本対象関数が正則であるような正則関数, distinguished polynomialと, 十分小さい多重円板の上で零とならない正則関数の積に一意的に表されることを主張する.

その多重円板での根をzの関数としてw_j(z)と表すとき, これらは一般には正則ではない. 2次元において, 局所的に分数次数変数のbranched meromorphic functionによってこれらが表されるというのがPuiseux expansion (ピュィズー展開)の主張である.

F(z,w)=w^2-z^3w+z\in C\{\{z\}\}[w]をローラン級数体上の多項式とするとき,

(a) FC\{\{z\}\}上既約であることを示し, (b) F=0で定まる代数関数のPuiseux expansion (Puiseux expansion)

    \[w=\sum^\infty_{\nu=0}c_\nu z^{\nu/2}\]

を求める. (a)はUFD上の多項式に関するEisensteinの判定により直ちに従う.
判別式D(z)=z(z^5-4)が零とならない一点z_0とその近傍U_0を選んで, F(z,w)U_0において重根を持たないようにできる. また,

    \[D_1(w,\alpha):=\{w:|w|<|\alpha|,arg(1-w/\alpha)\in [0,2\pi)\},\ D_2(w,\alpha):=\{w:|w|<|\alpha|,arg(w/\alpha)\in [0,2\pi)\}\]

に対し, D_1(z^5,4)\cap D_2(z^5,4)上logの正則な枝が定義され, 一般二項級数

    \[\begin{array}{lcl}\frac{\partial}{\partial w}\sqrt{w-\alpha} &=& -\frac{i}{2\sqrt{\alpha}}\frac{1}{\sqrt{1-w/\alpha}} \\&=& -\frac{i}{2\sqrt{\alpha}} \sum_{k=0} \frac{(2k-1)!!}{(2k)!!} (\frac{w}{\alpha})^k\end{array}\]

が意味を持つので, 積分定数をCとして積分し,

    \[C+\int \frac{\partial}{\partial w}\sqrt{w-\alpha}dw = C-\frac{i}{2}\sum_{k=0}\frac{(2k-1)!!}{(k+1)(2k)!!}\alpha^{-(k+1/2)}w^{k+1}\]

を得る. \sqrt{\alpha-\alpha}=0から,

    \[C=\frac{i\sqrt{\alpha}}{2}\sum_{k=0}\frac{(2k-1)!!}{(k+1)(2k)!!}\]

を得る. D_3:=\{0<z<{}^5\sqrt{4} \}とおいて, D_1\cap D_2\cap D_3上,

    \[\begin{array}{lcl} w(z) &=& \frac{\sqrt{z}}{2} \Big( \sqrt{z}^5 - \frac{i}{2} \sum_{k=0} \big[ \frac{(2k-1)!!}{(k+1)(2k)!!}4^{-(k+1/2)}(z^5)^{k+1} \big] -C \Big) \\&=& -\frac{C}{2}\sqrt{z} + \frac{1}{2}\sqrt{z^6} -i \sum_{k=0} \frac{(2k-1)!!}{(k+1)(2k)!!}4^{-(k+3/2)}\sqrt{z}^{10k+11}\end{array}\]

Fの一つの根を与える.

  1. 1.
    Gilligan B, Forster O. Lectures on Riemann Surfaces. Springer New York; 2012. https://books.google.co.jp/books?id=6wvpBwAAQBAJ

Footnotes

Footnotes
1 p.54