gate flutter

この言葉をご存じだろうか?

カラビナのゲートが衝撃で開いてしまう現象のことで、Whiplash Effectとも呼ばれる。

Edelrid [1]ロープを始めとする登攀具を開発・販売するドイツメーカーが出しているハンドブックから抜粋:

EDELRID. CARABINER HANDBOOK

先日まさに身を以てこの現象に遭遇した。
原因は慢心と怠惰である。あろうことかロックカラビナをロックしていなかった。

幸い事なきを得たのだが、次の写真を見て欲しい (これらは上の動画のスナップショット):

写真1を見ると、ロープはゲート側に引かれている。この状況は、Whiplashが起きた場合にゲートが開いている時間を最大化してしまう。カラビナをロックする以外に、降下する者がロープの流れを読んで予めムンターヒッチの向きを左側ゲートに変えておく、ビレイヤーにテンションを掛けないよう指示する、等の配慮が必要である[2]アッセンダーによる登り返しを教えるところだったため、ビレイヤーのビレイループに不用意に接続したままだった

写真2はムンターヒッチが外れてカラビナがロープにただ掛かっている状態になったところである。ここではバックアップを取っていなかったし、左手を放していたため (どちらにせよセルフビレイ・コード (PAS) に沿えていたので制御はできなかった)、右手のロープとの摩擦だけでは体重を支えられなかった。ここでは (片手をPASではなく) 両手ともロープから離さず持つことが重要であった。

慢心でリスクが積み重なれば、ほんの些細なミスで事故は起こる。システムのチェックを決して怠ってはいけないな。

Footnotes

Footnotes
1 ロープを始めとする登攀具を開発・販売するドイツメーカー
2 アッセンダーによる登り返しを教えるところだったため、ビレイヤーのビレイループに不用意に接続したままだった