これまでInstagramにピアノの練習動画を投稿してきましたが、今後これを次の手順に変更します:
- 練習動画専用のYouTubeチャンネルに動画を投稿 (原則非公開);
- 既存メディアプラットフォームを通じて動画リンクを含む情報を共有.
お知らせは以上ですが、なぜInstagramで動画共有を止めるのかについても、お話として書き記しておきましょう。
Metaの著作物に対するポリシー
Meta (facebook, Instagram) の音楽、特に音楽ビデオを共有するプラットフォームとしてのスタンスに私は感心しません。
それは未知の音楽 (動画) ファイルを既存の著作権で保護された作品と比較し、著作権侵害を判定するアルゴリズムと著作権に対するポリシー両方に亘るものです。
私のように趣味で音楽を演奏する人は (music) publisherと契約を結べる訳では無いので、現行の著作権の管理体系において次に挙げるような事を明確に示す事は現実的ではありません:
- 投稿物に含まれる音楽作品そのものの著作権について、その所在が無いか投稿者に属する;
- 投稿物に含まれる音楽が投稿者自身による演奏である;
Metaが提示する代案の「異議申し立て」に掛かる手間は、(少なくとも私には) 音楽に内在的又はそれを共有する価値に見合うとは言えません。[1] … Continue reading
投稿作品が著作権侵害を疑われた場合、Meta (の管理するメディアサービス) が行う処置は (客観的に) 次のようです。
Metaは投稿直後、独自の自動検知の仕組みを使って投稿された音楽を強制的にネガティブリストに入れ、対応する国での視聴がブロックされるように非表示または該当箇所をミュートにする。
先日私の投稿したもの[2]Partita No.5については、András Schiffの演奏したBachの同作品と9割以上一致している恐れがあるとの報告がありました。その前[3]Partita No.6は別のピアニスト、その前もまた別のピアニストによる作品と誤認されてしまいました。
最新のもの以外はいずれも異議申し立ての上、数週間後に復元されています。[4]認可・復元の条件やタイミングに合理的な一貫性というのか、責任というのか、誠実さというのか、ともかくそういったニュアンスの … Continue reading
さて、素人とプロの演奏を判別できない検知モデルには欠陥があり、Metaもそれを自認するからこそ「異議申し立て」の枠を設けているのだと思いますが、Google (YouTube) と根本的に異なるのは彼らMeta側が推定有罪のポリシーを採用しているところです。
GoogleとMetaを (音楽) 動画投稿プラットフォーム (を提供する企業) として比較する時、それぞれが採用している著作権侵害検知の為の推論モデルの堅牢性 (robustness) や精度を問おうとは思いません (結果は明らかであると思うが)。
しかし少なくとも、オリジナルの映像・音楽作品を共有する事にインセンティブを持つ私たちのような人間にとって、Metaがこのポリシーを維持する限り同様の使い方を続ける事はできないでしょう。
Google (YouTube) が、著作権侵害 (の恐れ) に対し傍観者である事を徹底しているのは対照的です。[5]ヘルプセンターの二つ目のQ&Aを参照。
Footnotes
↑1 | 権利侵害の疑いによってMetaから適用された投稿物への一連の制限に対し、「異議申し立て」ができる。「異議申し立て」が認められて自動再投稿されるまでに数日~数週間かかる。 |
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↑2 | Partita No.5 |
↑3 | Partita No.6 |
↑4 | 認可・復元の条件やタイミングに合理的な一貫性というのか、責任というのか、誠実さというのか、ともかくそういったニュアンスの “良識” に欠けているところも気になります。過去二度、別のコンテンツの投稿と同時にsuspension中のコンテンツの認可・復元がありました。これは彼らが、(著作権侵害の) 言われの無い投稿物をsuspendしている可能性がありながら、リソースの節約を優先している紛れもない証拠です。 |
↑5 | ヘルプセンターの二つ目のQ&Aを参照。 |