置換(i.i)

証明をブログに書くのは嬉しくない(何しろLatexによる書式が大変です!)のですが, 過去にとったノートも結構な量にのぼります.
なので思い入れのあるものや, 比較的独自の発想で解いたものについては迷わず載せていきます.

命題: 任意の置換はいくつかの巡回置換の積として表される

置換\sigmaに対し, 1 = \sigma^0(1), \sigma(1), \sigma^2(1), \cdotsを考えれば, これらのうち相異なるものは有限個しかない.
従ってあるi<jに対し\sigma^i(1)=\sigma^j(1)となる.
このようなi,jの組のうち, jを最小にするものをとれば, i=0でなくてはならない.
よってそのときj=rとおけば, 1, \sigma(1), \cdots, \sigma^{r-1}(1)は全て相異なり, \sigma^r(1)=1, \sigma^{r+1}(1)=\sigma(1), \cdots.
次に 1, \sigma(1), \cdots, \sigma^{r-1}(1)に含まれない任意の文字を k'とし, 上と同様に \sigma(k'), \sigma^2(k'), \cdotsの中はじめて = k'となるものを \sigma^{r'}(k')とすれば,
k', \sigma(k'), \cdots, \sigma^{r'-1}(k')は全て相異なり, k', \sigma(k'), \sigma^2(k'), \cdotsはそれらを循環させて並べたものになる.

さて, この操作でr個の文字 1, \sigma(1), \cdots, \sigma^{r-1}(1)r'個の文字
k', \sigma(k'), \cdots, \sigma^{r'-1}(k')とは共通の文字を持たないこと, すなわちそれらは全体として(r+r')個の
相異なる文字であることを証明してみよう.

まず上記操作において, \sigma^m(1) \big(0 \leq m\in Z\big)からなる巡回置換列をA, \sigma^n(k') \big(0\leq n\in Z\big)Bと置く.
条件から, Aに含まれない任意の文字を k'としたのであったから, A, Bが共通の文字を持たないことを証明するには, 巡回置換Bから一つの文字の置換,
すなわち一つの互換 (仮に(\sigma^i(k'), \sigma^j(k'))とする) を指定すればAとは無関係な置換Bを指定するのに十分であるということを示せばよい.
先にも述べられているように, 巡回置換Aには, 相異なる置換が有限個しか含まれていない. 今回の場合, m \geq r となる任意のmについて, 巡回置換列 Aは折り返しによって \sigma^m(1) = \sigma^{m (mod r)}(1) を満たすためである.
k' = \sigma^0(k')Aの一部でないのなら, \sigma^{r'-1}(k')もまたAの一部でない.
なぜなら\sigma^{r'-1}(k')Aの一部であるなら, (巡回置換の定義より)\sigma^{r'}(k') = k'もまたAの一部でないといけない.
以上から, 帰納的にBに属するk'以外の全ての置換も, Aには含まれない \qquad \blacksquare

「置換(i.i)」への2件のフィードバック

  1. yolcoyamaさんの数学への取り組み、いつも感心しております。独学でここまで!私は長年専門的な数学から離れているので、証明を見て矛盾があるかどうか検証できませんが読ませて頂きました。

    Latexでの変換、面倒ですよね(笑)「Latex」を見てちょっと懐かしくなりコメントさせてもらいました。

  2. さゆりさん

    コメント、ありがとうございます。
    (こんな記事を)検証しようとしてくれる人がいるなんて(笑)
    リーマン予想に取り組む数学者の逸話や、20世紀の数学社会に多大な影響を与えたフランスの若手数学者集団ブルバキの数学史などを見ていると、
    僕などは本当後発の、しかも大して優秀でもない学生(ですらないわけですが)の一人、くらいに過ぎません、少なくとも今はまだ。
    なので、さゆりさんもブランクがあるとはいえ、似た分野を専門で学習してたと思います。何か気づいたことがあれば突っ込んでくださいね!遠慮は要りませんで!

    Latexはしばらく使ってないんですか?
    いろんな文字が使えるのは純粋に楽しいですね☆

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