数列の部分和 
の極限, 無限級数和の収束判定法は幾つか知られているものの, その和を求めるのは容易ではないのです。ここに自分用ノートとして重要なアプローチを解説します.
§1. 準備
まずよく知られている次の4つの級数展開をよく知っておくこと.
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次に, これら4つの展開から他の初等関数の級数展開の導き方を知っておく.
例えば上記
を(項別)微分して
の展開を得る.
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双曲線関数
も, 対応する三角関数
の展開式における(-1)^nの項を除いたものと考えれば覚えやすいだろう.
そして一般二項定理の適用例としても, 逆三角関数の級数形の良い特徴としても次の例は重要だと思う.
      ![Rendered by QuickLaTeX.com \[\displaystyle{\frac{1}{\sqrt{1-x^2}}} = (1-x^2)^{-1/2} = \sum\limits_{k=0} \binom{-1/2}{k}(-1)^kx^{2k} \\ = \sum\limits_{k=0} \frac{-\frac{1}{2}(-\frac{1}{2}-1)\cdots (-\frac{1}{2}-k+1)}{k!}(-1)^kx^{2k} \\ = \sum\limits_{k=0} \frac{(2k-1)!!}{(2k)!!} x^{2k} \quad ((-1)!!=0!!=1)\]](https://blog.icefog.work/wp-content/ql-cache/quicklatex.com-a2b2d674a3150de2a87d874e519fd1ae_l3.png)
また, 求めたい級数の和が似通った既知関数に帰着できればいいが, 現実問題できない(もしくは思いつかない)ことがほとんどなので, 微分方程式と合わせて組み合わせ論的なアプローチも考えなくてはいけない. そこでまずは応用の広い多項定理を見ておこう.
      ![Rendered by QuickLaTeX.com \[\displaystyle{ ({\rm div}{\bf x})^n = \sum_{{\bf p},{\bf x}\in \mathbb{N}^u; {\rm div}{\bf p}=n} \binom{n}{\bf p}{\bf x}^{\bf p} = \sum_{{\rm div}{\bf p}=n} \frac{n!}{p_1!p_2!\cdots p_u!}x_1^{p_1}x_2^{p_2}\cdots x_u^{p_u} }\]](https://blog.icefog.work/wp-content/ql-cache/quicklatex.com-70020e2595e27e174dd1d78b31e52321_l3.png)
具体的に無限級数和に応用するために, 次のような例を考えよう.
      ![Rendered by QuickLaTeX.com \[y=\displaystyle{\sum_{k=0}^\infty a_kx^k}=a_0+a_1x+a_2x^2+\cdots +a_nx^n+\cdots\]](https://blog.icefog.work/wp-content/ql-cache/quicklatex.com-a20455cbe377d37ef2df6e908aeb8053_l3.png)
に対し, 
における
の係数
を見るのである.
この場合無限級数なので変数の数は無限(
)だが, 
の係数を見るのに
以上の次数を持つ項は無用である. つまり上の定義における
次元ベクトル
は実際には
次元ベクトルになる(
も考える)ので, 
とおけば,
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を得る.
      ![Rendered by QuickLaTeX.com \[\begin{tabular}{|c|c|c|c|c|} \hline (m,n) & 0 & 1 & 2 & 3 \\ \hline   0   & 1 & 0 & 0 & 0 \\ \hline   1   & \(a_0 \) & \(a_1 \) & \(a_2 \) & \(a_3 \) \\ \hline   2   & \(a_0^2 \) & \(2a_0a_1 \) & \(2a_0a_2+a_1^2 \) & \(2a_0a_3+2a_1a_2 \) \\ \hline   3   & \(a_0^3 \) & 3\(a_0^2 a_1 \) & \(3a_0^2a_2 + 3a_0a_1^2 \) & \(3a_0^2a_3 + 6a_0a_1a_2+a_1^3 \) \\ \hline \end{tabular}\]](https://blog.icefog.work/wp-content/ql-cache/quicklatex.com-9f4e5fddf5afa22f91bf0b9387d33850_l3.png)
このような具合なので, yの斉次方程式
におけるk次係数は
で与えられることが直ちに示される.
応用上も審美上も、線型微分方程式との兼ね合いで比較的容易に(解析)関数が決定されることがあるようなので, 具体的な計算に慣れておくことに越したことはないと思う.