モノドロミーとは

モノドロミーって何?

という話になって, いつもちゃんと答えられない. 考えてみればこの現象について知らないことが多すぎるのだ. 取り合えず考えられることをまとめてみた.

勿論これは暫定的な答えで, 今後改正されるであろう. それだけ掴みづらい, 難しい概念と言える.

————————-

以下まさに「モノドロミー現象」を表していると思われる具体例です. 一番下に参考文献を上げます.

まず設定から.

(X, b): 点付き位相空間(bは固定されたXの一点)
\pi_1(X)=\pi_1(X,b): bを基点とする基本群 (bを始点かつ終点とするXの閉道のホモトピー類)
O(X): Xから体Kへの関数の集合(presheaf with identity propertyは満たさないといけないので, 安全のため正則関数の集合としておく)

積分\intを二変数関数として次のように定義する:

    \[\int:\pi_1(X)\times O(X)\to K ; \int(w,f)=\int_w f(t)dt\]

※但しこの積分は「定義可能」とする(形式的に矛盾がないくらいの意味で).

普通積分と言えば積分区間が指定されていて, 後から被積分関数を与えるというものですが, 積分路wが固定されている状況で,

S_w(f) = \int(w,f) と定義すると, S_w:O(X)\to Kと考えられる. このような関数の集合をhom(O(X), K)と書くことにします(本来germの集合に然るべき).

a\in Xをとって, aからbへのパスをuとし, h_u: hom(O(X), K)\to hom(O(X), K)を次のように定義します.

    \[h_u(S_w)(f) = S_{uwu^{-1}}(f)\]

つまり基点をbからaに替えてその新しい閉道上での積分を割り当てる関数がh_u.

さてモノドロミー現象の主張は, 「h_uが同相」になるということ(hom(O(X), K)には然るべき位相を構成する必要がある).
そしてモノドロミーとは, 同相群の準同型[u]\to h_uのこと([u]はuのホモトピー類. これがwell-definedなのは, uのホモトピー類の選び方に依らずにh_u(S_w)(f)の値(即ち積分値)が合成した閉道の終点(=b)におけるfの値のみによって決まることによる).

この現象, 見たことありませんか?

特別な場合に限れば, コーシーの積分定理の逆です(正確にはXに若干の条件, 例えば連結性等を課している).

そして上の意味でのモノドロミーというのは, ホモトピー類で同相類を「一意的に」指定してるわけで, モノドロミーは積分を定義している, とも言えるし, 同相類を決めるよりもホモトピー類を決める方が簡単な場合にモノドロミーを使うと, ホモトピーの議論に帰着できるという, そういう話でした.

——————————————–

以下参考文献. 次の二つを挙げておきます.1は真に理解したい場合は避けられない議論を含んでいます (本来の意味でのfibration with unique path liftingから構成).2はより特別な場合ですが具体的でより理解しやすいし, リーマン面を扱うなら必ず出てくる文脈です.

1. SpanierのAlgebraic Topology p.73の定理2.3.6がモノドロミーを定義している文脈です.もし読めそうであればChapter 2だけここまで読み進めばかなり掴めるように書かれてあるので, 頑張って読んでみる価値はある.

2. Lectures On Riemann Surfaceのp.45にモノドロミー定理の主張があります.これは特別な場合のモノドロミーの定義になっているようなので, 解析方面が分かりやすければ読んでみると良い (locally connected Hausdorffな底空間におけるpathを, holomorphic germの成すcovering spaceへリフトすることが解析接続に対応し, モノドロミー定理はその接続のupto homotopyでの一意性を言ってる).

サポートする